便利な時代に不便さを楽しむ


◇便利さに流されてきた今だから、あえて不便さを楽しみたい
超高速でデータが飛び交い、メールも一瞬で相手に届く。画像の修正も思いのまま。昼間の写真の背景が一瞬んで夕方の景色になってしまう。5Gの通信がすぐ目の前までやってきている。そんな時代に逆行する行為です。フィルムカメラに手を出してみました。なぜ、今さらフィルムカメラなのかというと。デジタルカメラはセンサーで記録をしていきます。そのセンサーの敵が熱になるのですが。センサーの感度を上げたり、長時間露光をして長い時間センサーに負荷をかけていると発生するのがノイズです。ザラザラとした画面になってしまいます。そこをフィルムを使う事で少しでも緩和できないかと思ったのが事の発端です。フィルムでも感度を上げるとノイズが出る事は調べていくうちにわかってきたが、デジタルのノイズとどう違うのか、試してみたくなりました。私が普段愛用しているカメラはCanonなので、できれば同じCanonの原点を手にしたいと考えました。

◇カメラ探しは宝探し
昔のカメラとなると当然中古のカメラであるわけで、中古市場を覗いて回りました。まず目を付けたのが、手持ちのレンズも使えるEOSシリーズ。形も今のカメラとほとんど変わらない、ただ背面は何もないのですが。意外と高い。比較的新しいのと、フォーカスの性能やら、測距の性能やらが並んでいる。今のカメラとなんら変わらない。ただフィルムに記録するのが違うだけですね。EOS-1Vなんてフラッグシップ機なんて良さそうでした。でも、ふと我に返って私が求めていたフィルムカメラ像と違う、かけ離れている。もっと全てマニュアルのカメラを探そう。「機械式カメラ」というキーワードで探してみます。カメラの生い立ちを知る事が出来たような気がします。フィルムカメラの種類は大きく分けて、一眼レフタイプかレンジファインダータイプかです。ライカの様なレンジファインダーのカメラもコンパクトで良いなと思いましたが、ここはやっぱ一眼レフタイプを選びました。Canonにレンジファインダーのカメラでかっこいいのが無かった。のが一番の理由です。機械式カメラは時代とともに露出の補助が進化している事がわかりました。絞り優先モードが付いたり、シャッタースピード優先モードが付いたり。私は、とにかくマニュアルで撮りたかったので、さらにさかのぼり行き着いたのが今回のカメラです。

◇Canon F-1Nというカメラ
今回の行き着いたカメラは Canon F-1Nという機種です。通称「旧F-1後期」です。1971年に発売された旧F-1が1976年に一部リニューアルされて後期型へ。発売から10年たった1981年にフルモデルチェンジでNEW F-1が出ています。一番最初に手に取った感想は「超合金ロボだ!」私たちの年代はわかると思いますが。ズッシリと重みがあって、金属のひんやりした冷たさが心地いい。全てのものがカチカチと動く感じ。今から考えると、よくこんな精密なものを金属で作ったな、と感心してしまいました。このカメラが超合金ロボたる所以は、ファインダーです。一眼レフカメラの特徴でもあるペンタプリズムが収まったファインダー部分が取り外せるんですよ。もうワクワクしちゃいます。

◇古い機種なので先ずは現状確認
今回手元にきたカメラはカメラ本体とレンズが4本です。レンズマウントはFDマウントになります。①FD50mmF1.4 ②FD24mmF2.8 ③FD35-105F3.5 ④FD200mmF4のレンズ達です。現状確認の為にフィルムを入れていろんな設定で撮ってみます。ワイヤー式のレリーズも試してみました。撮りながらカメラ背面を見るたびに、そこに何もないのですが現実に苦笑いです。撮影をしていくと本体内部にあるミラーの動きがあまり良くない。シャッターを切った後戻らないこともあります。レンズも動きが悪い物もありそうです。何となく現状が掴めたので撮影終了。ミラーの動きの原因を調べてみると、グリスの固着によって起こるみたいなので一安心です。

◇機械式カメラは何度でも蘇る
一応最悪のことも考えて現状を伝えてメンテナンスしてもらった場合どのぐらい費用がかかるのか出してもらいました。外装掃除、内部掃除、シャッター幕交換、機械部分グリスアップ、シャッタースピード調整でおよそ3万円弱程だそうです。この機種は電子部品がほぼ無いので、よほどのダメージでない限り直せるそうです。電子部品が多い機種は直せない事もあるらしい。現状シャッターは問題なさそうなので、まずはグリスの状態確認です。下部の電池蓋を外すと外装パネルが外れます。プレートを慎重に外して機械部分が出てきました。綺麗だ!ここを開けて錆びていたり、金属片が有ったら、即メンテに出すか、ディスプレイに飾られて観賞用として終わるかのどちらかです。このカメラは大事に使おう。きっと前のオーナーも大事に使っていたはずだから。
次はレンズです。レンズは①50mmと②24mmの単焦点レンズはピカピカで綺麗でした。絞りもスムーズに動きます。レンズにゴミやカビも見られません。この2本のレンズを使って撮影をしていく予定だったので、良かったです。ほかのレンズはダメでした。③の35-105mmズームレンズは絞りの機構部分が破損していて動きません。④の200mm望遠レンズはレンズの曇りがひどく、観賞用にディスプレイに飾られました。

◇不便さを実感している
ここまでは、なかなか快適。順調に進んでいます。が、今待ちの状態です。試し撮りのフィルムを現像に出しています。今回試し撮りに使ったフィルムはFUJIFILMの「ベルビア100」リバーサルフィルムiso感度100の物です。写りが綺麗との事で、デジタル一眼レフと比較も兼ねて選んでみました。リバーサルフィルムとは、ネガフィルムとは違って、現像するとそのままカラーで見ることのできるフィルムです。一般的なフィルムはネガフィルムで、ネガフィルムの現像は比較的早く出来たりします。が、今回使ったリバーサルフィルムと白黒のモノクロフィルムは、時間がかかるようです。約1ヶ月かかると言われました。のんびり待ちますか。どんな写真が撮れているかもわからないので、不安と期待が入り混じる時間です。今の時代こんなにうずうずする時間ってなかなか無いですよ。宝くじの結果発表か、受験の合格発表ぐらいでしょうか?

※メンテナンスや清掃をする場合は、自己責任でお願いします。特に内部をバラす場合には、個々の機種、症状に合わせたメンテナンスが必要です。